転座にかかわる染色体の位置によってはPGT-SRで染色体の量の増減のない胚を選ぶだけでは症状のあるお子さんの出生を防げない場合があります。PGT-SRを受ける前には遺伝の専門家に相談をしていただくことが重要です。
自己紹介
- 大石祥子
- オンライン遺伝カウンセリングルームジーヌ代表。日本で唯一認定遺伝カウンセラーと生殖医療相談士、両方の資格を持つカウンセラーです。長年不妊治療クリニックで遺伝カウンセラーとして多くの患者様の相談をお受けしました。 現在は、不妊治療患者さんのためのオンラインカウンセリングルームジーヌを主宰しています。 特に、PGT-A・PGT-SR検査に関しては、日本産科婦人科学会の認定制度の発足以前より、PGTを希望されるカップル(ご夫妻)延べ5,000組、10,000名にカウンセリング、さらに、PGTの結果として検出されるモザイク胚の移植についての相談も1000件以上受け、多くの健康なお子さんの誕生のお手伝いをさせていただいております。
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2025/01/30
Q18. PGT-SRを受ける場合に注意すべきことはどのようなことでしょうか?
転座を持っている方の場合、転座由来の染色体のアンバランスに加えて、年齢に応じて増える染色体数の異常もありますので、染色体が正常の方に比べると移植できる胚を見つけるのが難しくなります。年齢の影響が少ない年齢の若いうちにPGT-SRを受けることをお勧めします。また、2人目、3人目のお子さんまで考えるのであれば、若いうちに複数の移植可能胚を確保されることをお勧めします。
Q17. 転座がある場合にはPGT-SRを受けるのが良いのでしょうか?
必ずPGT-SRを受けるのが良いとは言えません。転座保因者の方が生まれるときに突然転座が起きた場合もありますが、先祖のどなたかで転座が起こり、代々受け継がれてきたという場合も多いです。つまり、体外受精もPGT-SRもなかった時代から子供が無事に生まれてきたという事です。ですので、普通に妊娠出産できる可能性も十分あります。
ただし、転座の状況によっては、なかなか妊娠できなかったり、流産を繰り返したり、親族に転座由来の染色体のアンバランスを持つ障害のある方が生まれていたり、という事が起こっている場合もあります。そのような場合には、PGT-SR受けて負担を軽減することは有効な選択肢となりうると考えます。
Q16. 転座とは何ですか?
通常ヒトの体の細胞の核の中には1番から22番までの常染色体各2本とXとYの2種類の性染色体がXX、XYどちらかの組み合わせで2本、合計23対46本の染色体が存在します。
各染色体は個々に独立して存在するのですが、中には別々の番号の染色体同士の間で一部交換した状態で持っている方がいます。位置が入れ替わっているのですが、トータルの染色体(遺伝子)の量は通常と変わらないので、その方自身の健康には何の影響もありません。そのような状況の方を転座保因者といいます。
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Q20. PGT-Aを受けることで予想外のことがわかることがあると聞きました。何ですか?
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いつもお読みくださりありがとうございました。 記事をnoteの記事に集約いたしました。 noteの記事には不妊治療、着床前検査(PGT)についての詳しい解説を投稿しています。 今後もnote記事をお読みいただきますようお願い致します。 https://note.com/aliv...