クリニックのデータをまとめて論文にしようと考えた当時、私自身、海外でも多くの研究がされているのにPGTの有効性が明確にならないのは、技術的レベルが施設ごとにばらついているからだろう、当院の高い技術なら簡単に有効性を証明できるだろうと簡単に考えていました。実感として患者さんたちの成績は良く、多くの患者さんがPGT-Aを受けて良かったと考えておられたからです
また評価の方法として、1回の治療当たり(1回採卵して獲得できた胚全ての移植を繰り返した結果)あるいは1回の移植後という短期間の経過について研究されていることが多かったのですが、本来、体外受精(IVF)の目的は治療を繰り返す中で患者さんが生児を獲得するということであり、PGT-A は体外受精 の補助的な手段なのだから、PGT-A も一定の期間治療をする中で、生児を獲得できるかという累積出産率について評価するべきと考えました。そこで患者さんが治療開始後第一子を出産するまでの期間、出産に至らなかった患者さんは全研究期間最長4年間追いかけた結果としての累積出産率(少なくとも1回の生児出産を経験した患者さんの割合)を評価することとしました。
ところが、PGT-Aを受けた患者さんと受けなかった患者さんに分けて累積出産率を計算してみるとPGT-Aを受けなかったグループの方が成績は良い。特に40歳以下の患者さんでは出産に至る確率は有意に高いのです。
これは実感とは異なる。どういうことなのか???確かに、カウンセリングでは、若い人には有効性はあまり高くない、初めてIVFをする患者さんにはPGT
なしでも十分生まれる可能性は高いと話している!
以上のように考え、初めてIVF治療をするグループと、事前にIVF治療の不成功を経験している患者さんのグループに分けて、PGT-Aを行った場合と、行わない場合の治療経過を比較研究することにしました。
PGT-A を受けに来る患者さんは「よそで治療をしてうまくいかなかった。」「さんざん移植の失敗をし、流産を繰り返した果てに、最後の砦だと思って来ました。」という患者さんが多い。その患者さんたちがPGT-A
を受けると「出産出来ました。」と喜んでくれる。IVF 治療の不成功を経験している方に有効性が高いということなのではないのか?
初めてIVF 治療を開始する人と、IVF 治療が上手く行かない人ではPGT-A の有効性は異なるのではないのか?
初めてIVFを行う患者さんと、IVF 治療の経験はあるが不成功に終わった患者さん、別々にPGT-A
の有無で累積出産率の違いを比べてみたら何かわかるのかもしれない。そうすれば、どんな患者さんにとってPGT-Aが有効なのかもはっきりするのではないのか?
以上のように考え、初めてIVF治療をするグループと、事前にIVF治療の不成功を経験している患者さんのグループに分けて、PGT-Aを行った場合と、行わない場合の治療経過を比較研究することにしました。
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