自己紹介

オンライン遺伝カウンセリングルームジーヌ代表。日本で唯一認定遺伝カウンセラーと生殖医療診断士、両方の資格を持つカウンセラーです。長年不妊治療クリニックで遺伝カウンセラーとして多くの患者様の相談をお受けしました。 現在は、不妊治療患者さんのためのオンラインカウンセリングルームジーヌを主宰しています。 特に、PGT-A・PGT-SR検査に関しては、日本産科婦人科学会の認定制度の発足以前より、PGTを希望されるカップル(ご夫妻)延べ5,000組、10,000名にカウンセリング、さらに、PGTの結果として検出されるモザイク胚の移植についての相談も1000件以上受け、多くの健康なお子さんの誕生のお手伝いをさせていただいております。

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2024/06/01

卵子凍結の不透明 ②技術の有効性

 卵子凍結は将来の出産を保証することができるのでしょうか? 

日本産科婦人科学会の動画 ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ – 公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp) をご覧ください。

日本産科婦人科学会がアメリカの生殖医学会のガイドライン(Fertility and Sterility®Vol.No.1)から作成した図です。

採卵時の平均年齢、26~36歳、3日胚移植の結果です。1個の凍結卵子当たり出生率は4.5~12%、決して高くはありません。




採卵時の年齢の影響も考える必要があります。

採卵時の年齢が36歳未満では20個の卵子を保存すれば70%の人が出産できる可能性がありますが、36歳以上になると20個以上いくつ卵子を保存しても40%の人しか出産できません。




海外の例では採卵時の年齢が36~38歳の卵子凍結をした女性のうち80%の人は妊娠せず、妊娠した人の中で凍結卵子を使って妊娠した人は5.2~7%に過ぎませんでした。凍結した卵子の9割以上は使用されなかったとのことです。

日本でも、2015~2017年度に全国に先駆けて卵子凍結の公費助成を実施した浦安市では、事業終結後5年間で、卵子凍結をした34人のうち、凍結卵子を使用して出産したのは1人、7人が凍結卵子を使わずに9児を妊娠・出産したそうです。

今は子供を持つことはできないが、卵子を凍結しておけば安心、将来条件が整った時点で妊娠出産できる可能性は大きいと期待をする方は多いのかもしれませんが、今のところそれを証明するデータはありません。

自分はどのような選択をするべきなのか、ライフプランを考えていただくことは重要だと思います。

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