体外受精(IVF)をした経験があり、PGT-Aを受検した患者さんのうち出産の経験のない702名を事前IVF不成功PGT-Aグループ(PGT-A)、初めてIVFを行い1回採卵後出産に至らなかった363名のうち186名は通常のIVF治療を継続されました。(下のグラフのオレンジ色の部分)この患者さんたちを事前IVF不成功非PGT-Aグループ(非PGT-A)としました。
38歳以上ではPGT-A受験者の採卵回数は有意に多くなります。
PGT-Aを行うと、胚移植を行うことができる患者さんは減ります。
PGT-Aを行うと移植回数は有意に減少します。
PGT-Aを行うと、移植当たりの臨床妊娠率(胎嚢が確認できた確率)は、すべての年齢で有意に高くなります。IVF不成功経験者の場合は、年齢の若い患者さんのでも、PGT-Aを行った場合の方が妊娠率は高くなっています。
PGT-Aを行うと年齢にかかわらず、流産率は低くなります。ただし、染色体にはかかわらない不育症がある場合はPGT-Aを行っても流産率は下がりません。
PGT-A検査を行った場合と行わなかった場合で、出産した患者の割合に有意差は検出されませんでした。PGT-Aを行うことで出産できる患者の割合が増加するということはありません。
体外受精治療開始から第一子出産までの治療継続時間は、PGT-Aを行った患者で短いという傾向はみられますが、有意差は検出されていません。38歳以下の患者では有意に短縮しています。
考察
PGT-Aを行っても出産に至る患者さんの割合が増えるということはありませんが、移植回数、妊娠後の流産は大きく減少します。
IVF治療の不成功を経験した患者さんの場合、PGT-Aを行うことで、IVF治療の負担を大きく減少させることはできます。身体的、精神的負担を減らすことにより治療を続け出産につながる可能性もあると考えます。
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